タイの洪水

ツガミ<6101.T>が急伸し約2カ月ぶりに400円台を回復した。タイの洪水に絡み、以前から指摘されていた工作機械の復興需要への思惑が本格的に材料視されてきた格好。オークマ<6103.T>や安川電機<6506.T>など、タイ関連の設備メーカーの株価も一斉に上昇した。

 中部アユタヤ県を中心に被害が拡大している同国の洪水で、HDD(ハードディスク駆動装置)をはじめとするメーカーの生産拠点が多数冠水した。工作機械などの製造装置へのダメージも甚大とみられ、市場では新たな需要につながるとの見方が優勢になっている。

 ツガミはHDDメーカーが使う小型自動旋盤でアジア圏のシェアが高く、今後の受注増加が期待されている。会社側は被災した顧客の支援の準備を進めており、生産やサービス面での対応を図っていく。

 工作機械ではツガミのほか、やはりHDD向けの小型機を手掛ける豊和工業<6203.T>が上伸。また、自動車向けではオークマや牧野フライス製作所<6135.T>の株価が反発した。ロボットの復興需要も想定されるため、安川電や不二越<6474.T>にも買いが波及。安川電は、18日の決算説明会で経営陣がタイで被災した顧客からの引き合いについて言及していたもようだ。関連銘柄はほかに、工作機械で森精機製作所<6141.OS> やスター精密<7718.T>、レーザー溶接機のミヤチテクノス<6885.T>などがある。

 一方、「工場復旧のメドはついておらず、いつ需要が出てくるのかはわからない」(大手工作機械メーカー)と慎重な意見も根強い。また、すでに受注している製品を納入できないなどの弊害が出ているとの情報もあり、実際の各社の収益への影響はまだ不透明だ。

[ 株式新聞ニュース/KABDAS−EXPRESS ]
提供:モーニングスター社 (2011-10-21 12:23)